23Cと25Cのどちらが優れているのか?

2020/06/03: 発行
2020/09/12: 更新

目次



1. はじめに


最近の傾向として、ロードバイクのタイヤサイズが細い23Cから25Cに移っているそうです。


23Cと25Cはどちらが優れているのか

その理由は何でしょうか?

そして貴方にとってはどちらが最適なのでしょうか。

今回はその謎に迫ってみたいと思います。


2. 細いタイヤと太いタイヤの特徴


そんな訳でタイヤの太さによって、どんな特徴があるか本書独自の表を作成してみました。

そんな事は既に百も承知だと思われるかもしれませんが、先ずは目を通してみて頂ければと思います。

種類
(空気圧)
細いタイヤ
(高い)
太いタイヤ
(低い)
転がり
抵抗
変形抵抗 ×
摩擦抵抗
空気抵抗 ×
走破性 ×
空気抜け ×
乗り心地 ×
ウェット性能 ×
耐摩耗性 ×
総合得点 4点 5点

この表をご覧頂きます様に、運動性能に直接影響するタイヤの転がり抵抗については、明らかに細いタイヤが優れているものの、それ以外については概(おおむ)ね太いタイヤが有利という事になります。

とは言え、いきなりこれをご覧頂いても、ご不明な点やご異論も多々あると思いますので、これから少々解説を加えさせて頂きます。

空気圧

それでは早速、上から順番にご説明します、と言いたい所ですが、その前にタイヤの特性に大きく影響するタイヤの空気圧の話からさせて下さい。

ご存知の通り細いタイヤの場合、下の表にあります様に太いタイヤより空気圧が高めに設定されています。

タイヤの太さ 空気圧 質量 用途
細い






太い
23C 高い






低い
105PSI 380g ロードバイク
25C 100PSI 400g ロードバイク
28C 95PSI 440g クロスバイク
32C 80PSI 540g クロスバイク
35C 75PSI 790g ママチャリサイズ
37C 70PSI 1020g ワイド系

その理由は、タイヤの接地面が潰れない様にするため、と言えばご納得頂けるでしょうか。(詳細はこちら

このタイヤの空気圧が、タイヤの太さと共にタイヤにとって非常に重要な要素となっています。

そして、この空気圧の一番影響を受けるのが、これからご説明する変形抵抗と、後ほどご説明する乗り心地です。


変形抵抗

変形抵抗とは、下の図にあります様にタイヤの路面に接地する部分が潰れて、それが元に戻ったりする事によって発生する抵抗です。


日本自動車タイヤ協会作成資料にある①タイヤの変形(変形抵抗)の説明図

一般的にペダルの漕ぎ初めに感じる重さや、走行時の抵抗の殆どは、路面とタイヤ間の摩擦(接地摩擦)と思われかもしれませんが、空気圧の低いタイヤにおいては、それよりもこのタイヤの変形に伴う抵抗の方が遥かに大きいのです。

恐らく何方も経験があると思うのですが、空気の抜けたクルマのタイヤに空気を補充すると、いきなり、2~3割燃費が良くなるのはこのためです。

ただしそれと共に、いきなり乗り心地が悪くなるのも、ご存知の通りでしょう。

詳細はこちらをご覧頂くとして、変形抵抗は、タイヤの太さに関係なく、空気圧を高めれば小さくなりますが、その分路面からの衝撃を吸収してくれなくなるので、乗り心地が悪化します。


摩擦抵抗

摩擦抵抗とは、ご存知の通りタイヤと路面の間に発生する抵抗(力)で、以下の式で求められます。

F(摩擦抵抗)=μ(摩擦係数)×P(荷重)

太いタイヤの方がグリップが良いと誤解している方が多いのですが、実は上の式にある様に摩擦抵抗はタイヤの太さには一切関係せず、荷重と摩擦係数にのみ比例するのです。(詳細はこちら

全くの余談になりますが、この摩擦抵抗がある事によって、加速したり、減速したり、曲がったりする事ができるのですが、(これまた全く認識されていませんが)実は等速で走っているときは、摩擦抵抗は小さい方が良いのです。(詳細はこちら


空気抵抗

空気抵抗とは、走行中に受ける風の抵抗(力)で、以下の式で求められます。

空気抵抗 = 空気密度 × 前面投影面積 × 速度の2乗 × 空気抵抗係数

ですので、前面投影面積と速度の2乗に比例する事になります。

なおタイヤが細ければ確かに空気抵抗も少なくなるのですが、時速50km以下でしたら大差はありません。


走破性

走破性とは、悪路を乗り越える能力と思って頂ければと思います。

とは言え、進行方向の正面にある起伏を乗り越える能力は、タイヤの径が同じなので差はありません。

ですが、ハンドルを切って進行方向と平行に走っている轍(わだち)を乗り越え様とすると、タイヤの太さが大きく影響してきます。

下の図をご覧頂きます様に、C35(直径35mm)程度の太いタイヤですとハンドルを右に切っても5mm程度の段差であれば軽々と乗り越える事ができるのを分かって頂けると思います。


細いタイヤは、並行に走っている段差を簡単に乗り越えられない

しかしながらC22(直径22mm)程度の細いタイヤの場合、ハンドルを切っても5mm程度の段差を乗り越えらない可能性すらあり、その場合最悪転倒する可能性がある事も分かって頂けると思います。

もっと言えば、高さ10mmを超える段差は、(タイヤを持ち上げない限り)決して斜めに横切る事はできないのです。

細いタイヤは、並行に走っている溝や轍に十分注意する必要があります。

もっと言えば平滑性の悪い路面では、細いタイヤを使ってはいけない、と言った方が良いかもしれません。


空気抜け

空気抜けは、空気圧が高いほど起き易くなります。

またこれを完全に防ぐ事は現状不可能です。

ですので、コマメにチェックして補充するしかありません。

なおクルマのタイヤの場合、窒素を充填すると空気(正確には窒素)が抜け難いという奇妙な噂が流れています。

ですが、元々空気の4/5は窒素であり、もし残り1/5の酸素が窒素より早く抜けるのでしたら、空気を補充する度に窒素の濃度が高まる事になります。

そんな訳で、窒素を充填すれば空気が抜け難くなるというのは、大嘘だと一刀両断で切り捨てたいと思います。(詳細はこちら


乗り心地

乗り心地は、何方も良くご存知でしょう。

太いタイヤほど乗り心地は良くなります、と言いたい所ですが、これは正確ではありません。

太いタイヤでも空気圧を上げれば乗り心地は悪くなりますし、細いタイヤでも空気圧を下げれば乗り心地は良くなります。

ですので、標準空気圧であれば太いタイヤの方が乗り心地は良いが、どちらのタイヤにおいても空気圧が低ければ乗り心地は良くなり、高ければ乗り心地が悪くなると言った方がより正確です。


ウェット性能

ウェット性能については、接地面が小さいほど高くなります。

その理由は、接地面が小さくなると、路面に対する圧力が高まる(狭い所に荷重が集中する)事により、水の膜を切り裂いてタイヤが路面に接触できるからです。


細くて固いタイヤは水の膜を切り裂いて路面と接触できる

ですので空気圧の高い細いタイヤほどウェット性能は高く、空気圧の低い太くてタイヤほど雨の日に滑り易くなると言えます。

特に空気の抜けた太いタイヤは、濡れた路面では御法度です。


耐摩耗性

耐摩耗性とは、同じ距離走ってタイヤの表面がどれだけ摩耗するかです。

これは当然ながら、接地面が広い太いタイヤが有利になります。

ただし太いタイヤでも空気圧を上げ過ぎると、タイヤの中央部分しか路面に接触しないので、この場合は中央の偏摩耗が発生します。


3. 細いタイヤと太いイヤのまとめ


項目の説明が長くなってしまいましたが、それでは先ほどの表を見ながら、3種類のタイヤの特徴をまとめてみたいと思います。

種類
(空気圧)
細いタイヤ
(高い)
太いタイヤ
(低い)
転がり
抵抗
変形抵抗 ×
摩擦抵抗
空気抵抗 ×
走破性 ×
空気抜け ×
乗り心地 ×
ウェット性能 ×
耐摩耗性 ×
総合得点 4点 5点

細いタイヤ

先ず細いタイヤですが、スピードに直接関係する転がり抵抗(変形抵抗、摩擦抵抗、空気抵抗)とウェット性能が優れていますので、とにかく速く走りたいのならこれです。

ただし、走破性も乗り心地も劣りますので、かなり疲れるのは間違いありません。


空気圧の低い太いタイヤ

次に空気圧の低い太いタイヤは、摩擦抵抗以外は細いタイヤと真逆の特性になっています。

ですので、スピードは劣るものの、身体への負担が少なく、安全なのはこれです。


空気圧の高い太いタイヤ

最後に空気圧を高めた太いタイヤは、空気圧の低い太いタイヤに比べて、変形抵抗とウェット性能は良くなるものの、他は悪化する事になります。

ですので、空気圧の低い太いタイヤを履いていて、一時的にスピードを上げたい、或いはウェット性能を高めたい場合に有効です。


4. 23Cと25Cのどちらが優れているのか?


それではいよいよこの表を見ながら、23Cが良いか25Cが良いかを考えてみます。


種類
(空気圧)
細いタイヤ
(105PSI)
太いタイヤ
(100PSI)
25C
(105PSI)
転がり
抵抗
変形抵抗 ×
摩擦抵抗
空気抵抗 × ×
走破性 ×
空気抜け × ×
乗り心地 × ×
ウェット性能 ×
耐摩耗性 ×
総合得点 4点 5点 4.5点

上の表をご覧頂きます様に、今回は右端に1列追加しました。

1列追加した訳

それは、23Cと同じ空気圧にした25Cのタイヤです。

その理由は、現状23Cよりも細いタイヤが殆ど使用されない事を考えると、身体への影響や安全性を考慮すると、恐らく23Cが細さと空気圧の限界なのでしょう。

ですので、23Cにおいては、これ以上空気圧を上げるのは現実的には難しいと思われます。

一方25Cの場合、実際に23Cが使われている事を考えれば、23C並みに空圧を高めて、23C並みの乗り心地も許容する事もできるだろうと思われます。


25Cの優位性

それを知って頂いた上で、改めて上の表を見て頂けますでしょうか。

左二つの列は、既にお伝えした細いタイヤと太いタイヤの比較表と全く同じです。

ですのでとにかく速く走りたいのならば、23Cのタイヤです。

一方25Cのタイヤは、スピードは劣るものの、身体への負担が少なく、安全です。

そして、25Cにはもう一つのアドバンテージがあります。

それは、空気圧を23C並みに高めるというオプションがあるという事です。

ですので、もし路面が非常に滑らかで衝撃が少ないと判断したら、空気圧を高めて変形抵抗を抑える事が可能になります。

或いは、もし雨が降りそうなら、やはり空気圧を高めにしてウェット性能を高める事も可能です。

という訳で、限界ぎりぎりの23Cよりも、多少調整しろのある25Cの方が優れている、と言うのが本書の考え方ですが、いかがでしょうか。


5. 体重の違い


さて、今までは同じ人が自転車に乗った場合を想定していましたが。

今度は、体重が異なる場合を考えてみます。

結論から先にお伝えすると、体重が軽い場合は、23Cを選択すべきです。

下はミシュランの体重別の推奨空気圧のチャートです。


ミシュランのタイヤと体重別の推奨空気圧チャート

このチャートにある上の赤丸二つをご覧頂きます様に、体重65kgの人が25Cのタイヤに乗る場合、推奨空気圧は87psiで、23Cの場合は102psiです。

一方下の赤丸二つをご覧頂きます様に、体重50kgの人が25Cのタイヤに乗る場合、推奨空気圧は73psiで、23Cの場合は87psiです。

という事は、体重50kgの人は、同じ87psiの空気圧で23Cのタイヤに乗る事ができるのです。

すなわち、体重65kgの人が25Cのタイヤに乗るのと同じ乗り心地で、23Cのタイヤに乗れてしまうのです。

この場合、走破性のみが25Cより劣りますが、他は全て25Cを上回りますので、小柄な人は細いタイヤを選択した方が断然有利と言えます。

ついでに言えば、小柄な人は空気抵抗も少ないので、もし身体能力が同じであれば、最高速度は小柄の人の方が出易いと言えます。


6. まとめ


それではまとめです。

①23Cのタイヤは、スピードに直接関係する転がり抵抗(変形抵抗、摩擦抵抗、空気抵抗)とウェット性能が優れているので、とにかく速く走りたいのならこれになる。

ただし、乗り心地も走破性も劣るので、かなり身体に負担を掛けるのは間違いない。

②一方25Cのタイヤは、スピードは劣るものの、乗り心地が良く走破性が高いため、身体への負担が少なくより安全である

また25Cにおいては、空気圧を23C並みに高める事によって、路面が非常に滑らかだったり、ウェットだった場合、変形抵抗を抑えたり、ウェット性能を高める事も可能である。

③なお体重が軽い場合、重い場合より空気圧を抑えられるため、23Cを選択する方が合理的である。


以上ですが、少しはお役に立ちましたでしょうか?





23Cと25Cのどちらが優れているのか?





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