気軽に買ってはいけない4WD
(4WDの知られざる短所)

2020/11/08:発行

はじめに


待望の新車を購入しようとしている方で、二輪駆動車にするか4WD車(四輪駆動車)にするか悩んでいる方はいらっしゃらないでしょうか。

そんな貴方に強くお伝えしたいのは、滅多に雪の降らない所で4WDの購入はお止めなさいという事です。

ご自分がどんなクルマを買おうと、赤の他人にとやかく言われる筋合いはないと思われるのもごもっともなのですが、人様にズボラな幣サイトと同じ経験をしてほしくないからだと言えば、多少聞く耳を持って頂けますでしょうか。

そんな訳で滅多に雪の降らない地方で4WD車の購入をお考えの方は、決して損はさせませんので、是非本書を最後までお読み頂ければと思います。


4WDの長所と短所


さて、4WDの長所と短所を聞かれれば、概ね何方も以下の様に考えられるのではないでしょうか。

4WDの長所 4WDの短所
雪道に強い

何となく高速走行や雨天走行でも安定していそうだ
重い
車両価格が高い
税金が高い
燃費が悪い

以上を知った上で4WD車を購入するのだから、何の問題もないと思われ事でしょう。

ところが、そうでもないのです。

本書が自信と確信を持って言える4WDの長所と短所は、以下の通りです。

4WDの長所 4WDの短所
雪道に強い
ただし雪道で強いのは走行性能だけで、旋回性能も制動性能も二輪駆動車と全く同じ

何となく高速走行や雨天走行でも安定していそうだと思うものの、実はどちらも二輪駆動車と全く同じ
重い
車両価格が高い
税金が高い
燃費が悪い
舗装路を走ると二輪駆動車以上に駆動系が傷みや易い
タイヤのメンテナンスを怠ると、飛んでもなく駆動系にダメージを与える

そんな話、聞いた事もないぞと思われるかもしれませんが、聞いた事がないからと言って正しくないの証明にはなりません。

嘘だと思われたら、是非次をお読み下さい。


4WDの本当の長所


短所に追加した2項目については、後ほどじっくりお伝えするとしては、ここでは長所に追加した2項目についてお話したいと思います。

まず雪道に関しては、4WDが強いのは走行性能(走行性能)だけで、旋回性能も制動性能も二輪駆動車と全く同じというのは、かなり知られてきた話ではないでしょうか。

確かに4WD車は前輪(もしくは後輪)が滑った場合、他の2輪に駆動が掛かりますので、雪道での走行性能は断トツに優れています。

ところが旋回性能も制動性能も、駆動が4輪に掛かった所でタイヤのグリップが変わる訳でもないので、何も変化しないのです。

同じ理由で、高速走行でも雨天走行においても、安定して走れるかどうかは、全て4本のタイヤのグリップだけで決まるの、4WDにしても何も変わらりません。

強いて舗装路での4WDのメリットを上げるとしたら、4輪に駆動力が掛かる事から、加速時に有利という事だけなのです。

実際、舗装路走行を重視した日産のGT-Rは、加速時以外はほぼ後輪駆動で走っているくらいなのですから。(詳細はこちら


日産GT-Rの4WDシステムはフルタイム4WDではなくアクティブ・オンデマンド4WD

もし常に4WDで走った方が安定しているのならば、GT-Rはフルタイム4WDになっている筈です。

何となく4WDであれば、どんな道でも安定して走れる様な気がしてしまいますが、それは美しい誤解ないのです。

では何故スバル車の様にフルタイム4WDがあるかと言えば、雪道(4WD)と舗装路(2WD)の切り替えを少しでも早くさせるため、ただそれだけなのです。

生憎その様なデータは見つからないのですが、もしクルマの駆動方式別事故件数のデータがあったとしたら、恐らく4WDの事故率が特出しているのではないでしょうか。

何故ならば、誰もが4WDを余りにも過信するからです。

実際スキー場への行き帰り等で、路肩に落ちているクルマを見ると、4WD車が多い様な気がしませんでしょうか。

これで4WDが優れているのは、雪道での走行性能だけだと凡(おおよ)そご納得頂けましたでしょうか?


4WD車の知られざる短所1


すっかり前置きが長くなってしまいましたが、それではいよいよ本題です。

先ほどの表でお伝えしました様に、4WDにおいては知られざる短所が二つあります。

先ず1点目は、舗装路を走ると二輪駆動車以上に駆動系が傷みや易いという事です。

4輪を駆動する余分な機構が付いているので、傷み易いと思われるかもしれませんが、違います。

突然ですが、タイトコーナーブレーキング現象をご存知でしょうか?

グリップの良い舗装路で、パートタイム4WD車のセンターカップリングをONして、前後輪直結4WDにしてハンドルを一杯に切って進もうとすると、クルマにブレーキが掛かった様に前に進めなくなる現象の事です。(詳細はこちら

タイトコーナーブレーキング現象の動画

その理由は、カーブでは前輪と後輪の移動距離が異なるにも関わらず、それを吸収してくれる機構がないからです。

下はクルマがカーブを曲がる際の、4本のタイヤの走行距離の違いを表しています。


カーブでは前輪の走行距離(青線)の方が後輪の走行距離(赤線)より長くなる

二輪駆動の場合、左右の駆動輪の走行距離の違いはデファレンシャルで吸収してくれますし、他の2車輪はフリーで回転していますので、何の不都合もありません。

ところがこの前後輪直結4WDの場合、前輪と後輪の走行距離を補正する機構が何もありません。

このため、このままハンドルを切って進むと、ブレーキを踏みながら走っている様なものですので、駆動系に重大な損傷を与えてしまうのです。

4WDの駆動システムに詳しい方でしたら、それはセンターデフの無い特殊なケースだと思われる事でしょう。

ところが他の4WD駆動システムにおいても、大小の差はあるものの、舗装路のカーブを曲がる度に少なからずセンターデフを含めた駆動系に負担を掛けているのです。

例えば電子制御フルタイム4WDアクティブ・オンデマンド4WDに使われている電子制御カップリングは半クラッチを多用する事でディスクが摩耗しますし、パッシブ・オンデマンド4WDに使われているビスカスカップリングは昇温により内部のシリコーンオイルをドンドン劣化させます。

このストレスを受ける順番は、以下の様に雪道に強いメカ駆動の4WD車ほど高くなるのです。(詳細はこちら

順位 4WDシステム
1 前後輪直結4WD
(パートタイム4WD)
ジムニー
ハイラックス
2 電子制御フルタイム4WD スバルのAT搭載4WD車
3 アクティブ・オンデマンド4WD 大多数の4WD車
4 パッシブ・オンデマンド4WD 軽自動車全般
5 メカ式フルタイム4WD
(センターオープンデフ搭載)
ライトエース・トラック
6 電気駆動4WD プリウス
7 二輪駆動 4WD以外
タイヤサイズ違いの影響を受け易い駆動形式

ですので、どうしても舗装路を4WDでストレスなく走りたいならば、(雪道には、からっきし弱いものの)センターにオープンデフを搭載したフルタイム4WD車がお勧めになります。

ただし現在市販されているこのタイプの4WD車は、幣サイトが知る限りトヨタのライトエース・トラックだけかもしれません。


センターにオープンデフを搭載したフルタイム4WDのトヨタ・ライトエース・トラック

いずれにしろ、4WD車を少しでも長持ちさせたいのならば、4WD車で舗装路を走らない事だという事を是非ご理解頂ければと思います。


4WD車の知られざる短所1


それでは次に4WD車の知られざる短所2となる、タイヤのメンテナンスを怠ると更に駆動系に大きな負担を掛けるについてご説明します。

これをもう少し具体的に言えば、タイヤサイズに無頓着なまま舗装路を走り続けると、クルマに飛んでもないダメージを与えてしまうという事です。

突然ですが、下の様な4WD車のタイヤに関する注意事項をご存知でしょうか。

1. 前・後輪それぞれに自動車メーカーが指定したサイズを使用する。
2. タイヤのメーカー、銘柄、パターン(溝模様)を四輪とも同一にする。
3. 摩擦差の著しいタイヤを混ぜて使用しない。
4. タイヤの空気圧を指定空気圧に調整する。
5. 応急用スペアタイヤは、自動車メーカーの指定した位置に装着する。
6. 冬用タイヤを装着する時も上記1~4に注意する。

国土交通省の四輪駆動車のタイヤ交換時の注意事項

これは数年前4WD車で車両火災が頻発した事に伴ない、国土交通省が出した4WD車のタイヤ交換についての注意事項です。(車両火災の詳細はこちら


テンパータイヤで高速走行して燃えたフルタイム4WDのスバルレガシィ

これを読まれると、そんな事は二輪駆動車でも同じ事だと思われる事でしょう。

ですが、これを守らなくても二輪駆動車がいきなり故障したり、ましてや燃えたりする事はありません。

何しろタイヤがパンクしたら、タイヤメーカーやタイヤの摩耗量に関係なく、新品のタイヤに交換していますし、冬になれば駆動輪にのみスノータイヤを履く事も平気で行なっているのですから。

ところが4WD車の場合、これを守らないと(車両火災はかなり特殊なケースだとしても)クルマの寿命をドンドン縮める事になってしまうのです。

この理由は、先ほどのタイトコーナーブレーキング現象と同じです。

例えば前後のタイヤサイズが下の絵の様に異なったとすると、当然ながら前後のタイヤの移動距離が異なりますので、前後輪直結4WDでしたら、走行中ブレーキを踏んで走っているのと同じ様になってしまうのです。


タイヤサイズが違うと常時4WD機構に負荷が掛かる

ただしタイトコーナーブレーキング現象はカーブだけ発生しましたが、この場合は走行中常時発生するのです。

となれば、その駆動系に与えるストレスはかなりのものだと、容易に想像できる事でしょう。

そんな訳で、もし4WD車に乗るとなると、二輪駆動車と同じ様な軽い気持ではいけないという事を、多少気が付いてきて頂けましたでしょうか。


4WDにおけるタイヤの扱い方


それでは、4WD車にストレスを与えない様にするには、具体的にどうすれば良いかお伝えします。

先ずやらなければならない事は、タイヤの銘柄とサイズを揃えるのは当然として、5000km毎のタイヤローテンションです。

これも二輪駆動車でも当たり前の様に言われている事ですが、その場合はタイヤの摩耗量を一定にする事が目的でした。

ところが4WD車の場合、クルマの駆動系を長持ちさせるためにもどうしても必要な作業なのです。

タイヤ4本のローテンションを行うには、仮に片輪2本を持ち上げらえるジャッキを使ったとしても、軽く小1時間は掛かりますし、ショップにお願いしても数千円は掛かります。

そんな事を、ものぐさな貴方が5000km毎に(もし年間1万km走行ならば年2回も)行えるでしょうか?

更にです。

もしタイヤがパンクでもしたら、場合によってはタイヤの4本同時交換が必要になるのです。

タイヤの値段次第ですが、これだけで数万円(下手をすれば10万円以上)が吹っ飛んでしまいます。


まとめ


そんな訳で、滅多に雪道を走らないで、尚且つものぐさな方は4WDは止めた方が良いと言うのが、本書の結論です。

特に都市部にお住まいで、年に1~2回の積雪や、年に数回のスキーのために、こんなに手間の掛かる4WDを高いお金を出して選ぶのは愚の骨頂です。

お伝えしました様に、4WDは雪道での走行性能は高いのですが、旋回性能や制動性能は二輪駆動車と同じなのです。

4WDの長所 4WDの短所
雪道の走行性能が高い

(他は何一つ良い事はない)
重い
車両価格が高い
税金が高い
燃費が悪い
舗装路を走ると二輪駆動車以上に駆動系が傷みや易い
タイヤのメンテナンスを怠ると、飛んでもなく駆動系にダメージを与える

またFFでも前輪にチェーンを巻けば4WD並みの走行性能になりますし、FRも後ろに荷重を掛ければかなり改善されます。

また何度もお伝えしました様に、4WDだと高速走行や雨天走行でも安定するというのも単なる迷信にすぎません。

そしてもう一つ覚えておいて頂きたい事は、4WD車はグリップの高い舗装路で一番ストレスを受け易く、雪の上を走っているときが一番ストレスが少ないという事です。

にも関わらず、1年の大半を舗装路しか走らない人が、敢て4WD車を選択する必要がどこにあるのでしょう。

というのが、その昔タイヤに無頓着で4WD車を10万kmの遥か手前で廃車にした経験者の偽らざる結論です。

この事をもっと早くに知っていれば、4WD車には手を出さなかったのですが、残念ながらようやく気付いたのは廃車にしてから数年後の事でした。

ついでに言わせて頂ければ、こんな事を主張しているのは、幣サイトぐらいなのも寂しい所です。




モノグサが買ってはいけない4WD
(4WDの知られざる短所)





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