横並びで比較する
雪道に強い4WDシステムとは

Issued on Dec. 03, 2018
Corrected on Nov. 19, 2019

目次


  1) はじめに
  2) ディファレンシャルの機能
  3) 4輪直結パーマネント4WD
  4) 前後輪直結パーマネント4WD
  5) パートタイム4WD
  6) パッシブ・オンデマンド4WD
  7) アクティブ・オンデマンド4WD
   7-1) マツダのi-ACTIVE AWD
   7-2) BMWのxDrive
   7-3) 日産GT-RのアテーサE-TS
   7-4) 日産のインテリジェント 4×4
   7-5) 日産のトルクベクトル付きインテリジェント 4×4
  8) メカ式フルタイム4WD
   8-1) オープンセンターデフ式フルタイム4WD
   8-2) デフロック機構付きセンターデフ式フルタイム4WD
   8-3) ビスカスLSD付きセンターデフ式フルタイム4WD
   8-4) ランドクルーザ200
   8-5) パジェロ
  9) 電子制御フルタイム4WD
   9-1) スバルのACT-4(アクティブトルクスプリットAWD)
   9-2) スバルのVTD-AWD(バリアブル・トルク・ディストリビューション)
   9-3) スバルのDCCD-AWD(ドライバーズコントロールセンターデフ)
   9-4) ランサーエボリューションX(S-AWC)
  10) まとめ(雪道に強い4WDシステムのランク表)



7) アクティブ・オンデマンド4WD


7-5) 日産のトルクベクトル付きインテリジェント 4×4

続いては、日産のJUKE16GT FOURに採用されているトルクベクトル付きインテリジェント 4×4です。


日産のJUKE16GT FOUR

先ほどエクストレイの所でお伝えした様にインテリジェント 4×4は、ごくごく一般的なFFベースの電子制御アクティブ・オンデマンド4WDです。


トルクベクトル付きアクティブ・オンデマンド4WD

ですが今回は下のイメージ図にある様に、トルクベクトルと呼ばれる後輪左右の駆動トルクを制御する機能を有しています。


トルクベクトルのイメージ図

と従来は記述していたのですが、大きな間違いでした。

後輪左右の駆動トルクを制御するのは間違いないのですが、本書作成の機構図が完全に間違えていました。

この機構図の場合、後輪にデフがあるので、もし片方のトルク分配器をOFFにしてしまったら、駆動は全てOFFした軸に掛かってしまいますので、後輪には一切駆動が掛からない事になってしまいます

読者の方に教えて頂いたのですが、本4WDシステムは以下の様な構成になっているとの事です。


トルクベクトル付きインテリジェント 4×4の機構図(株式会社ジェイテクトHPより)

これを本書のシンプルな機構図に書き直すと以下の様になります。



こんなに単純なのかと疑われる方のために、日産のHPにエクストレイルとの比較イラストがありましたので、下に載せておきます。


エクストレイルとJUKEの4WDシステム比較イラスト


これをご覧になると、かなり驚かれるのではないでしょうか?

なにしろ4WD車に必要なセンターデフの類もなく、さらにあらゆるクルマに必須の後輪(駆動輪)のデフも存在しないのですから。

これを初めて見たときは、このクルマはまともに曲がれないと思ったくらいです。

ですが、この後輪に付いたトルク分配器を制御する事で、カーブでの左右後輪の回転差も吸収できますし、前後輪の回転差も吸収できます。

おまけにこのトルク分配器の両方をOFFすれば、FF(2WDモード)走行が可能になり、両方をONすれば雪道で最強となる後輪直結駆動(AWDモード)が可能になります。


JUKEの駆動切替スイッチ

ただし左右後輪の駆動トルクを微妙に調整するトルクベクトル(AWD-Vモード)については、舗装路を高速で曲がる場合を想定しており、滑り易い雪道での効果は限定的と見た方が良さそうです。


実際、日産のHPを見ると以下の様に書かれていますので、雪道での効果は普通の4WDモードの方が上の様です。

4WDモードスイッチは、舗装路でスポーティなハンドリングが楽しめる基本モードの“4WD-V”に加え、滑りやすい路面でのより安定した走行が可能な“4WDモード”、さらに“2WD”も選択することができる。
日産のHPの抜粋

確かに考えてみれば、4WD-Vモード(トルクベクトルが働くモード)は舗装路の様にグリップが効く場合は効果的でしょうが、μ(摩擦係数)の低い雪道ではむしろ無い方(後輪直結の方が)が安定すると言えます。

それでは最後に、本4WDシステムにおける雪道における走破性レベルを決めたいと思います。

読者より間違いの指摘を頂く以前は、本4WDシステムの雪道走破性は、簡易LSD付き電子制御アクティブ・オンデマンド4WDと同じレベル11にしていました。

ですが、(二つのトルク分配器を完全にONするだけで)センターデフと左右後輪の直結が可能なると知った今となっては、オフロード機構満載のランクルやパジェロを超えるレベル19に跳ね上げたいと思いますがいかがでしょうか?


7-6) トヨタのダイナミックトルクベクタリングAWD
2019/11/22:追記

続いてはトヨタのRAV4に搭載されたダイナミックトルクベクタリングAWDです。


ダイナミックトルクベクタリングAWDを搭載したトヨタのRAV4

当初は世界初と聞いて、後輪に2つトルク分配器を付けてセンターデフと後輪デフを無くしたのが世界初かと思ったのですが、既にお伝えしました様にこれは既にJUKEにも採用されています。


Dynamic Torque Vectoring AWDに関する解説図

世界初とは、左右後輪のトルクを制御できる4WDにおいて、後輪への駆動を完全に遮断するディスコネクト機構を搭載した事なのだそうです。(上図の右)

それはともかく、RAV4もJUKEのAWDモードと同様に後輪への駆動が直結となるSNOWモードを持ち、前輪も簡易LSDを持ちますので、これもレベル19としたいと思います。





7-5) 日産のトルクベクトル付きインテリジェント 4×4
7-6) トヨタのダイナミックトルクベクタリングAWD
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7-4) 日産のインテリジェント 4×4
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8. メカ式フルタイム4WD



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