タイヤを太くしてもグリップは変わらない
(制動距離を基にした立証)

2018/9: 発行

目次


     1. はじめに
     2. 事実
     3. タイヤを太くしたら制動距離は変わるのか?
     4. まとめ


1. はじめに


本サイトではこれまで、タイヤが太くなってもグリップは変わらないと、この数年来一貫して主張し続けているのですが、未だにイヤそれは違うとお叱りのお便りを頂戴します。

どうやら、タイヤが太くなればグリップが良くなると、固く信じられている方が、相当数いらっしゃるのは間違いない様です。

そんな方のために、非常にシンプルで客観的な事実を提示して、タイヤが太くなってもグリップは決して変わらない事を立証したいと思います。

ものの数分で読み終えますので、是非お付き合い頂ければと思います。


2. 事実


では早速その客観的な事実をお見せしたいと思います。


上のチャートは、国土交通省の制動試験結果を基に、本紙が作成した20台の異なるクルマにおける、タイヤの単位接地面積当たりの荷重と制動距離をプロットしたものです。

2006年と少々古い試験データですが、最新のデータを使っても傾向は同じです。

どんな傾向かと言えば、単位接地面積当たりの荷重がいくら変わっても、時速100kmの制動距離は43m前後でほぼ一定だという事です。

なお本チャートの基になった試験データ、及び集計方法、並びに制動距離のバラツキ要因等につきましては、以下の幣記事をご参照頂ければと思います。

車両重量と制動距離の真の関係
(再検証しても変わらなかった)タイヤは太いほどグリップは良いのか?


3. タイヤを太くしたら制動距離は変わるのか?


このチャートを漠然と眺めていても、良く分からないとおもいますので、具体的な例を示したいと思います。


例えば、このチャートで一番右にあるエスティマにおいて、タイヤを太くしたら制動距離はどうなるでしょうか?

エスティマのオリジナルタイヤにおける単位接地面積当たりの荷重が0.035kgf/mm²ですので、仮にタイヤの太さを2割増しにすれば、(接地面積は1.2倍に増えるので)単位接地面積当たりの荷重は0.29kgf/mm²になります。

そこで、このチャートで0.29kgf/mm²における制動距離を見ると、相変わらず43m近辺です。

にも関わらず、タイヤを太くすると制動距離は短くなると思われるでしょうか?

もしかしたら、この様に車種が異なる場合と、同じクルマでタイヤの太さを変えるのとは違うと言われるかもしれませんが、車種が変わってもこれほど制動距離は一定なのに、クルマが同じでなぜ変わると言えるのでしょうか?

またこれはあくまでも制動試験であって、コーナリングのグリップとは違うと言われるかもしれませんが、なぜ制動試験では差がないのに、コーナリングで差が出ると言えるのでしょうか?

ましてやタイヤの幅を変えると言うのは、スクラブ半径だけでなく、クルマのホイールアライメントを少なからず狂わせます。(アライメントの詳細についてはこちら

にも関わらず、なぜタイヤを太くするとコーナーでグリップが良くなると言えるのでしょうか?

どう考えても有り得ない話です。


4. まとめ


ここまで読んで頂ければ、よもやタイヤが太くなればグリップが良くなると思われる方は、いらっしゃらないでしょう。

と言いたい所ですが、それでもタイヤが太ければグリップは良いと信じられている方は、確実にいらっしゃると思います。

実際、現代社会においても、お化けや幽霊を信じる方はいらっしゃいます。

本書としては、そこまで立ち入るつもりはないので、信じたい方はそのまま信じて頂ければと思います。

ですが、折角高いお金を出してタイヤを太くしても、(グリップは増えないのに)タイヤが重くなって運動性能は低下するし、燃費も悪くなるし、ホイールアライメントは狂うし、雨や雪道では却って滑り易くなる、という多数の弊害がある事を忘れないで頂ければと思います。

なおタイヤを太くした場合、唯一無二のメリットがあります。

それは、タイヤの耐久性が良くなるという事です。

そしてそれこそ、タイヤを太くしてもグリップが良くならないというもう一つの証になりますので、もし興味がありましたら、次を覗いてみて頂ければ幸甚です。




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