並みのSUVとは明らかに一線を画す
RAV4のランクル並みの4駆性能

2019/4/12: 発行


はじめに


2016年以降、暫く日本での販売を中断していたトヨタのRAV4が、2019年4月10日に3年ぶりに復活しました。

新RAV4の説明動画

幣サイトでは、以前新RAV4に搭載されるダイナミックトルクベクタリングAWDの記事を書いた事から、これが具体的にどの様に働くのか気になっていました。

このため、早速新RAV4の取扱説明書を使って調べてみましたので、結果をお知らせしたいと思います。

なお新型RAV4には、以下の様に3種類の4WDシステムがあるのですが、本書ではダイナミックトルクベクタリングAWD搭載車(アドベンチャー)に特化して記述します。

新RAV4の駆動システム グレード
2WD(FF) X
ダイナミックトルクコントロール4WD
(ハリアー等に搭載されている従来型の4WDシステム)
X、G、GZ
ダイナミックトルクベクタリングAWD アドベンチャー
2WD(FF) ハイブリッドX
E-Four(電気式4WDシステム) ハイブリッドX、G


ダイナミックトルクベクタリングAWDとは


先ずダイナミックトルクベクタリングAWDのおさらいです。

詳細はこちらをお読み頂くとして、当該AWDシステムは一般的な4WDにあるセンターデフや後輪デフの代わりに、フロントデフ直後のデカップリング機構と後輪に設けた2個の電子制御カップリングによって構成される4WDシステムです。


Dynamic Torque Vectoring AWDに関するトヨタの簡単そうな解説図

これによって、センターシャフトも連れ回りしない完全なFF走行が可能になると共に、後輪へ直結された50%の駆動力を(後輪デフの影響を受ける事無く)左右のタイヤに配分できる様になります。


ドライブモード


新型RAV4には、一般的なクルマと同じ様に、エコ/ノーマル/スポーツのドライブモードが設定できます。


新型RAV4のドライブモード切り替えスイッチ(赤枠部)

この内容を取扱説明書から抜粋すると以下の様になります。

設定 内容
ECO アクセルペダルの踏み込みに対するトルクの発生を緩やかにし、
更にエアコンの効きを抑え気味にして、燃費を向上させる。
NORMAL 通常走行
SPORT ステアリングのフィーリング、およびエンジンの制御による
アクセルレスポンスなどがスポーツ走行に適した制御に変わります。

ダイナミックトルクベクタリングAWDにおいては、完全なFF走行や、後輪の左右トルクを100:0~0:100に切り替えて旋回性能を高める事が可能です。


新RAV4はセンターシャフトを回転させない完全な2輪(FF)走行が可能


新RAV4は、後輪の左右トルクを自由に配分可能

当初は、エコモードは常時2輪走行で、スポーツモードにするとフルタイム4WDとなり、積極的に後2輪のトルクを制御すると思っていたのですが、残念ながらドライブモードの切り替えでは4輪駆動の制御は変えていない様です。

ダイナミックトルクベクタリングAWDの説明動画

と言う事は、例えエコモードであっても、発進時や旋回時は4WD走行になり、トルクベクタリングの操舵感を味わえるという事です。

どのモードであっても必要に応じて4WDになれば応答性や安全性が高まるので、それはそれで良いのですが、完全に固定できないも少々残念な気がしないでもありません。


マルチテレインセレクト


それでは本題のマルチテレインセレクト(multi-terrain select)です。

これこそダイナミックトルクベクタリングAWDの本領発揮、と言える機能でしょう。

これは、オフロード走行におけるタイヤの空転によるスタックや、駆動力不足によって失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を、複数のモードから選択できる機能です。

ちなみに”terrain”とは、”地形”を指します。

従来この機能は、4WDの機構がてんこ盛りのランドクルーザーとランドクルーザープラドにしかなかったのですが、今回からRAV4が新たに仲間入りしたという訳です。


マルチテレインセレクト搭載車

ただしランドクルーザーは、以下の5種類のモードを選択できるのに対して、RAV4にはMUD&SANDとROCK&DIRTの2種類のみとなっています。


ランドクルーザーに搭載された5種類のマルチテレインセレクト

その内容は以下の通りです。

モード 内容
MUD&SAND タイヤが埋まる様な砂地や泥濘(ぬかるみ)などの走行抵抗の大きい路面走行
時速40km以下で有効
NORMAL 一般道(オフロード以外の通常走行)
ROCK&DIRT 未舗装の林道の様な凹凸のある路面走行
時速20km以下で有効

MUD&SANDモードの場合、横滑り防止装置であるVSC(Vehicle Stability Control)がOFFになるとの事ですので、恐らく後2輪は駆動力25%ずつの直結駆動になるのでしょう。

MUD&SANDモードの説明動画

これによってリアの片輪が空転しても、もう一方の車輪は常に駆動していますので、悪路での走破性は飛躍的に高まります。

また後輪にデフのある4WD車において、空転する車輪にブレーキを掛ける方式の様に、レスポンスの遅れもありません。

ただし前輪にはデフがありますので、(たとえVSCがOFFであっても)前輪の一方が空転した場合、空転した側の車輪にブレーキを掛けて、片方の車輪に駆動を伝えると推測されます。

次にROCK&DIRTモードの場合、地面は固くてそれなりにタイヤはグリップするので、(VSCはONのままで)後輪の左右トルクを制御し、一度後輪のどちらか一方の空転を検知したら、即座に他方に駆動を掛ける様な制御をしていると推測できます。

ROCK&DIRTモードの説明動画

また旋回時は、直結のままでは後輪のシャフトに負荷が掛かるので、一般道と同じ様左右輪のトルク制御をするか、もしくは電磁カップリングを多少スリップ気味に設定しているかもしれません。


SNOWモード


最後に操作パネル右下にあるSNOWモードです。

これはマルチテレインセレクト外のモードで、ランドクルーザーにもありません。

前述のMUD&SANDは、深雪路にも対応していますので、これは一般的な圧雪路を想定していると思われます。

ですので、当然制御上の速度制限もなければ、VSC(Vehicle Stability Control)も積極的に介入して安全性を高めているのでしょう。

ただしこの場合も、旋回時以外は左右の後輪は直結状態が基本になっているのではないかと思われます。

恐らくちょっと試乗した程度では、その違いは分からないと思いますが、後2輪が(デフを介さず)直結のままであれば、雪道はかなり安定して走れるので間違いないでしょう。

できる事なら、一度乗り比べてみたいものです。


まとめ


実際の所、新RAV4で道なき道を突き進むというのは、殆ど無い事だと思いますので、マルチテレインセレクト機能自体は大した意味はないかもしれません。

ですが、以下の様な機能を備えているのはかなり画期的と言えるのではないでしょうか。

 ①高速での旋回性能を向上させる、後輪のトルクベクトル機構

 ②デカップリング機構による、完全な2輪(FF)駆動

 ③悪路に断然強い、後2輪の直結駆動


と言う訳で、もしRAV4を購入されるのでしたら、ダイナミックトルクベクタリングAWDを搭載したアドベンチャーが断然お勧めです。

新型RAV4のモデル一覧(燃費の単位はkm/L)
グレード 駆動システム 燃費 販売価格
X 2WD(FF) 15.8 2,608,200円
ダイナミックトルクコントロール4WD 15.2 2,835,000円
G ダイナミックトルクコントロール4WD 15.2 3,202,200円
G Zパッケージ ダイナミックトルクコントロール4WD 15.2 3,348,000円
アドベンチャー ダイナミックトルクベクタリングAWD 15.2 3,137,400円
ハイブリッドX 2WD(FF) 21.4 3,202,200円
E-Four(電気式4WDシステム) 20.6 3,450,600円
ハイブリッドG E-Four(電気式4WDシステム) 20.6 3,817,800円

また主要装備が多少異なるので一概には言えないのですが、アドベンチャーが従来のダイナミックトルクコントロール4WDを搭載したGグレードより安いのも興味深い所です。

ただし燃費が同じなのが、少々残念な所です。



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