小学生でも分かるトルクと馬力の話
(本当に早いクルマとは?)

2010/01: 発行

第4章:エンジン性能曲線
(エンジン性能曲線を見ればそのクルマの特性が分かる)



4-5. 馬力の算出


エンジンの性能曲線が分かった所で、今度はクルマの馬力を計算してみましょう。

計算と言うと毛嫌いされるかもしれませんが、ここまでくれば抵抗無く分かって頂けると思います。

以前馬力は、以下の様に求められるとお伝えしました。

馬力=トルク×回転数×定数

図2のガソリンエンジンの場合、6000回転時のトルクはグラフの赤線からおおよそ16kgf・mである事が分かります。

これを上の式に当てはめると、以下の様にほぼスペック通り(6000回転で135馬力)の値が求められました。

馬力=トルク×回転数×定数(0.0014)=16kgf・m×6000回転×0.0014=134馬力

基本さえ分かれば、難しいと思った計算式も非常に簡単な事が分かって頂けると思います。

またエンジンの性能曲線は、どれも間違いなくトルクカーブと馬力カーブがペアになっていますが、(お互いは独立した事象ではなく)実はトルクカーブが分かれれば馬力カーブが求められ、馬力カーブが分かればトルクカーブも求められるという訳です。


4-6. F1エンジンのトルク


馬力の計算方法が分かった所で、今度は馬力からトルクを計算してみましょう。

一般のクルマは馬力もトルクも良く知られているので、それではF1エンジンのトルクを計算してみます。


McLaren 2015 powered by Honda

F1エンジン(1600ccターボ)は 18,000回転で700馬力との事ですので、この値を以下の式に入れてみます。

トルク=馬力/回転数/定数(0.0014)=900÷19000回転÷0.0014=33.8kgf・m

するとトルクは約34kgf・mと求められました。

F1エンジンは一般のエンジンと目的も機構も耐久性も全く異なるのですが、高回転エンジンの割には3,000CC並みのトルクがあるのが分かります。




4-7. 高回転エンジンと高トルクエンジン


以前トルクと回転数の両方を上げる事は難しいので、自動車メーカでは車種毎に両者が最適なバランスになる様に調整しているとお伝えしましたが、ここでは高回転エンジンと高トルクエンジンの2種類のエンジンの特徴を上げてみましょう。

【高回転エンジン】 スポーツタイプに多い。高回転まで回る事により、馬力が高くスピードは出る。
ただしトルクが細いので、低回転での加速は鈍く、且つ登板道は弱い。

【高トルクエンジン】 RV車等に多い。回転数は伸びないので、馬力が低くスピードは出ない。
ただしトルクが大きいので、低回転での加速は良く、登板道に強い。

上の説明を読んでも、もしかしたら高回転エンジンの方が加速が良いのではと思われるかもしれませんが、それはトルクの出る高回転にして発進するからです。

もし(アクセルを吹かさずに)アイドリング状態から発進すると、明らかに高トルクエンジンの方が加速は上です。

また同様の理由で、高回転エンジンは登り坂での加速、或いはトップギヤ(5速/6速)のままの加速も不得意という訳です。

具体的には、トルクが十分あればそのままのギヤでアクセルを踏んだ分だけ加速されるのに対して、高回転エンジンの場合、そのままではなかなか加速できないため、シフトダウンしてエンジンの回転数を高める必要があり、少々品の無い運転を強いられるという訳です。

なお高回転エンジンは街乗りでは運転が難しいと言われますが、これは馬力が高くて(スピードが出易くて)運転し難いのではなく、低速トルクが小さくて、高回転を維持できない一般道ですと明らかに加速が悪いからです。




4-5. 馬力の算出/第4章:エンジン性能曲線





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