小学生でも分かるトルクと馬力の話
(本当に早いクルマとは?)

2010/01: 発行
2016/06: 追記

第7章:トルクに関する誤解
(4気筒と6気筒エンジンではどちらが優れているのか?)



7-6. サーキットで早いクルマが一般道でも早いのか?


先ほど2,500ccまでならば、迷わず4気筒とお伝えましたが、その昔レースで活躍したスカイラインGTRの雄姿をご存じの方は、やっぱり早いのは6気筒エンジンだと思われるのではないでしょうか?

またそういう方ほど、サーキットで早いクルマを保有したいとの思いが強いのではないでしょうか?

その通り、確かにサーキットで早いのは馬力の稼げる6気筒の高回転エンジンが有利なのですが、ならばそのクルマが一般道でも本当に早いと言えるのかです。

よく考えてみて下さい。

サーキットには、ヘアピンカーブとピットはあっても、一般道に無数にある90度のカーブも無ければ、信号機も横断歩道も無いのです。

本書を最初からお読み頂いた方は分かって頂けると思いますが、高速走行が維持できるサーキット場なら、馬力重視のクルマが有利なのは当然なのですが、数百mごとにストップ&ゴーを繰り返す一般道の場合、断然トルクが重要なのです。

一昔前の話ですが、スカイライン神話に憧れてケンメリ2000GT(直列6気筒)を頑張って購入した方々の偽らざる感想は、長い!重い!遅い!そして燃費が悪い!でした。

すなわち現実には存在しない夢の様な場所(サーキット)でのクルマの優劣など(イメージ向上には大変有効ですが)、はっきり言って一般道では何の参考にもならない(むしろ逆の結果になる)のです。

実際日産もそこは十分に分かっていて、スカイラインGT以外は全て4気筒車を用意しており、当然売れ筋も4気筒車でした。

ところで、左のケンメリHTと右上のケンメリHTのどこかに大きな違いがあるのが分かりますでしょうか?

撮ったアングルが全く異なるのですが、恐らく大多数の方は同じクルマだと思われるのでしょう。

ですが、実は左のクルマは4気筒エンジン搭載のショートノーズで、 右上のクルマは6気筒エンジン搭載のロングノーズで、全長が全く異なるのです。

この長さを一見同じに見せる手法は日産のお家芸で、フェアレディーZの2シータと2 by 2(4シータ)でも似たアプローチが見られます。


上の写真の2台は、一見すると色違いの同じクルマに見えますよね。

ですが左は2シーター、右は4人乗りの4シーターで、全長は200mm以上異なると共に、リアウィンドウの形状と給油口の位置が微妙に異なります。

全長が同じ様に見えるのは、リアウィンドウの後端がいずれも後輪の中心にあるからです。

話がそれましたが、本章の結論としては、(かなり独断的ではありますが)一般道で気持ちよく走りたいのであれば、決してサーキットで早いクルマを選択してはいけないとしたいと思います。

もしくは、一般道での実力を知る上での参考にしたいのならば、サーキットに信号を数本置いて(もしくはピットでのストップ回数を指定して)、レースを行うべきです。

もしそれが実現すれば、従来の殆ど意味のない馬力偏重主義からからトルク重視に、購入者、供給者双方が徐々に変わると思うのですがいかがでしょうか?

自動車雑誌は多数存在していますが、この様な指摘がないのは何とも寂しい限りです。




7-7. ディーゼルエンジン


以上の話をすると、具体的にトルクの大きなクルマは何があるかと思われるでしょう。

トルクの大きなクルマ(エンジン)とは、①大排気量で、②気筒数が少なく、③高回転タイプではない物(ロングストロークタイプ)という事で、どちらかと言えば日本で不人気のクルマを探すとこのタイプになります。

なお、なぜ①~③のエンジンがトルクが大きくなるについては、こちらをご覧ください。

その高トルクエンジンの代表格が、前記しましたディーゼルエンジンです。


なお同じく高トルクの電気自動車については、次の章で述べます。

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと違って軽油を燃料としますが、最も大きな違いは、点火プラグがない事とガソリンエンジンより圧縮率が高く、それ故トルクが非常に高い事です。

前述のディーゼルエンジンの性能曲線を再度見て頂ければ、低回転で非常に高いトルクが出るものの、最大馬力も最高回転数も低いという事を思い出して頂けると思います。

ただししつこい様ですが、(普段使わない)最高スピードにおいては劣るものの、一般的な領域においては加速も良く、登りも強く、燃費も良いというのはここまで読んで頂いた方には、十分ご理解頂けたのではないでしょうか?

実際過酷で有名なルマン24時間レースでも、ディーゼル車がこの6年連続で優勝し、ダカールラリーでもディーゼル車が上位を席巻しているのも記憶に新しい所です。


ヨーロッパでディーゼル車が人気なのはこれが理由なのですが、排ガスと振動/騒音が更に改善されれば日本でもこれからかなり普及するかもしれません。





7-6. サーキットで早いクルマが一般道でも早いのか?/第7章:トルクに関する誤解





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